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田中 正暁
Proceedings of 12th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-12) (USB Flash Drive), 14 Pages, 2018/10
ナトリウム冷却高速炉におけるサーマルストライピング現象の把握及びそれによる高サイクル熱疲労現象の評価を目的とした数値解析コード(MUGTHES)の開発整備を実施している。数値解析コード及び解析手法開発においては、検証、妥当性確認、そして不確かさ評価からなる一連のステップを踏んで、数値解析結果の妥当性をこのVVUQの作業を通じて定量的に示す必要がある。そこで、本研究では、VVUQの妥当性確認の基本問題として、T字合流配管の水試験WATLONにおける衝突噴流と呼ばれる流動状態を対象として数値解析を実施し、それにより得られた数値解析結果と実験結果を用いて不確かさ評価を実施し、その実施手順について確認した。これまでの検討結果を受け、単純化最小二乗法GCI評価手法(SLS-GCI)とエリアバリデーション法(AVM法)を用いて数値解析結果の不確かさと、実験結果と解析結果との差の大きさの評価を実施した。数値解析と不確かさの定量評価を通じて、MUGTHESのサーマルストライピング現象への潜在的な適用性を示すとともに、不確かさ評価結果からMUGTHESの解析モデルの改良点について抽出することができた。
田中 正暁; 村上 諭*
Proceedings of 25th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-25) (CD-ROM), 10 Pages, 2017/07
主炉停止系制御棒(PCR)および後備炉停止系制御棒(BCR)、さらに径方向ブランケット燃料集合体(RBA)周辺のCIP部では、これらから流出する低温のナトリウムと燃料集合体からの高ナトリウムとの混合によって、サーマルストライピングが発生する可能性がある。UISの内部では水平方向流れによる影響が、またRBA周辺部ではUISの外部流の影響がそれぞれ存在する。そのため、サーマルストライピング現象を精度よく評価するために、上部プレナム部全体を解く全体解析と評価対象である局所領域を解く局所解析とを連携させた空間連携解析評価手法を整備し、水流動試験結果との比較によりその妥当性を確認した。また、局所モデルの適正化として計算対象領域および空間分解能に関する感度解析を実施し、適切な局所モデルを提案した。
田中 正暁; 小林 順; 長澤 一嘉*
Proceedings of OECD/NEA & IAEA Workshop on Application of CFD/CMFD Codes to Nuclear Reactor Safety and Design and their Experimental Validation (CFD4NRS-6) (Internet), 12 Pages, 2016/09
熱疲労評価に必要な構造の熱応答を予測するため流体と構造間の共役熱伝達問題に適用可能な流体-構造熱連成解析コードMUGTHESを整備している。MUGTHESの基本検証を実施するため、平行3噴流体系のPLAJEST試験を対象としたベンチマーク解析を提案した。平行3噴流体系では、既往知見から中心噴流と両側噴流との流速比により3つの特徴的な流動形態に分類されることから、PLAJEST試験に対してもそれに対応した試験条件をベンチマーク解析条件として採用した。数値解析を通じて、スマゴリンスキーモデルを用いたラージエディシミュレーション(LES)法によるアプローチはサーマルストライピング現象に適用可能であることを確認した。
田中 正暁; 三宅 康洋*
日本機械学会M&M2015材料力学カンファレンス講演論文集(インターネット), 3 Pages, 2015/11
非定常異温度流体混合場と構造材中の非定常熱伝導場を同時に計算する流体-構造熱連成解析(MUGTHESコード)と熱応力解析(FINASコード)による連携解析を実現するためにインターフェースプログラム(MUFIN)を整備した。T字合流配管部を模擬した流体-構造熱連成水流動実験を対象に、MUFINを介したMUGTHESとFINASとの一連の連携解析機能確認を目的とした検証解析を実施し、その適用性を確認した。
田中 正暁; 三宅 康洋*
Mechanical Engineering Journal (Internet), 2(5), p.15-00134_1 - 15-00134_20, 2015/10
本報は、流動-構造熱連成解析コード(MUGTHES)の検証を目的として、サーマルストライピング現象の典型問題としてT字合流部での異温度流体混合に対する水流動試験を対象に熱流動解析(流体部の解析のみ)を実施するとともに、MUGTHESによる数値解析結果を基に、T字合流部での温度変動発生メカニズムに対する大スケール渦運動との相互作用に関して調べたものである。MUGTHESによる熱流動解析では、標準スマゴリンスキーモデルによるラージエディシミュレーション法を採用した。解析コードの検証過程では、GCI(格子収束性)評価を実施し、最小二乗法に基づくGCI評価手法の適用性が高いことを示した。また、解析結果から、構造評価に対して影響の大きい主要な温度変動発生メカニズムは、枝噴流前縁から後流領域の境界に沿って主配管表面近傍で形成されるネックレス状渦、枝噴流背後で形成される馬蹄状渦、さらに枝噴流背後のカルマン渦との相互作用によることを明かにした。
田中 正暁; 長澤 一嘉*
Proceedings of 16th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-16) (USB Flash Drive), p.6650 - 6663, 2015/08
流体-構造熱連成解析コードMUGTHESの基本検証として、平行3噴流体系のWJECO試験およびPLAJEST試験を対象としたベンチマーク解析を実施した。解析結果と実験結果との比較により、3噴流の混合により発生する熱流体混合過程および大スケールの渦構造について明らかにし、また、温度変動発生メカニズムと大スケール渦との関係について明らかにした。また、流体から構造への熱伝達の減衰過程について知見を得た。
田中 正暁
第20回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.55 - 58, 2015/06
ナトリウム冷却高速炉における高サイクル熱疲労現象に関して、数値解析による評価手法を整備する。実機評価における解析結果の信頼性を確保するため、著者が考案した不確かさ評価と実機評価までを含むV&V実施手順(V2UP)に従い、PIRTを用いた概念モデルの整備、既往試験を含め階層的に配置した検証試験の設定、数値解析コード開発および基本検証、解析評価手法の検証(V&V)、さらに不確かさを考慮した実機評価を行うこととする。本報では、その第1ステップである概念モデルの構築について、PIRTを用いた検討過程と検討結果について報告する。
田中 正暁; 三宅 康洋*
Proceedings of 22nd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-22) (DVD-ROM), 13 Pages, 2014/07
本報では、流動-構造熱連成解析コード(MUGTHES)の検証を目的として、サーマルストライピング現象の典型問題としてT字合流部での異温度流体混合に対する水流動試験を対象に熱流動解析(流体部の解析のみ)を実施するとともに、MUGTHESによる数値解析結果を基に、T字合流部での温度変動発生メカニズムに対する大スケール渦運動との相互作用に関して調べたものである。MUGTHESによる熱流動解析では、標準スマゴリンスキーモデルによるラージエディシミュレーション法を採用した。解析コードの検証過程では、GCI(格子収束性)評価を実施し、最小二乗法に基づくGCI評価手法の適用性が高いことを示した。また、解析結果から、構造評価に対して影響の大きい主要な温度変動発生メカニズムは、枝噴流前縁から後流領域の境界に沿って主配管表面近傍で形成されるネックレス状渦、枝噴流背後で形成される馬蹄状渦、さらに枝噴流背後のカルマン渦との相互作用によることを明かにした。
田中 正暁; 大野 修司
第19回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.247 - 250, 2014/06
ナトリウム冷却高速炉における高サイクル熱疲労解析評価の信頼性を確保するため、V&Vと実機評価を含む実施手順をV2UPとして具体化した。V2UPでは不確かさ評価を実施する。本報では、実用問題としてT字合流部での異温度流体混合に対する水流動試験を対象とした検証解析結果を用い、適用可能なGCI評価手法を整備し、最小2乗法に基づく修正手法の適用性が高いこと、解析結果と実験結果との定量比較手法としてAVM法および修正版であるMAVM法の適用が可能であることを確認した。
村松 壽晴; 山口 彰
JNC TN9400 2000-056, 150 Pages, 2000/05
[目的]本研究では、安全系の限定や多重性要求の合理化を行った場合、および多様な作動流体を冷却材として用いた場合に顕在化する熱流動課題を調査するとともに、温度成層化およびサーマルストライピングの両現象につき、作動流体を変化させた場合の特性変化を数値解析により評価することを目的とする。[方法]作動流体の違いから派生するプラント設計上の特徴、及び安全系の局限化に係わる設計概念の調査を行ない、主要な熱流動課題に関する定量的な評価検討を行なった。その結果に基づき、設計上留意すべき事項、さらには温度成層化およびサーマルストライピングに係わる熱流動上の特性を明らかにした。[主要な成果](1)熱流動課題の検討ガス冷却炉、及び重金属冷却炉で顕在化する課題を摘出した。・ガス炉:自然循環、流動振動(高流速に対する配慮)、減圧事故・重金属炉:温度成層化、流力振動(ランダム振動)、地震時のスロッシングさらに安全系の局限化に係わる課題として、原子炉容器のコンパクト化、及びRVACSに着目した課題を摘出した。(2)温度成層化およびサーマルストライピングに係わる熱流動上の特性評価数値解析により得られた各現象についての影響の程度の順列は、以下の通りである。・温度成層化:ガスナトリウム鉛・サーマルストライピング:ガス鉛ナトリウム
村松 壽晴; 笠原 直人; 菊池 政之; 西村 元彦; 上出 英樹
JNC TN9400 2000-010, 168 Pages, 2000/02
サーマルストライピングは高温と低温の流体が構造材に交互に接することにより、構造材の温度分布が時間的に変動し、結果として構造材に熱応力による高サイクル疲労を生じさせる現象である。ナトリウム冷却高速炉では、ナトリウムの高い熱伝導率により流体側の温度変動が構造に伝わりやすいため特に留意が必要である。本現象は流体と構造の境界分野にある複雑な現象であることから、十分な解明がなされておらず、設計では構造表面での温度変動幅を考えられる最大温度差である流体の混合前温度差とするか、モックアップ試験により温度変動幅等を測定した上で保守的に設計条件を定めることが多い。また、その方法はルール化/基準化されていない。これに対し、著者らは流体と構造の両面からの分析により、流体側の温度変動の発生から構造内への伝達までの過程を現象論的に明らかにしつつあり、熱疲労に対する支配因子として温度ゆらぎ振幅の減衰に着目している。これまでに、流体内、熱伝達、構造材内での変動の減衰を考慮し、疲労損傷、き裂進展まで評価できる解析コードシステムを構築してきており、実機解析を通してその適用性を確認した。今後は、実験検証を継続して一般化していく予定である。さらに、高速炉の経済性向上に寄与するためには、温度変動の減衰を含め熱荷重を合理的に評価し設計に適用できる「サーマルストライピングの評価ルール」を確立する必要がある。その原案を構築し、大きく2つの道筋を立てた。すなわち、現象解明を進めることによって、温度ゆらぎ振幅の減衰機構等の支配メカニズムを忠実にモデル化した詳細解析手法を提示するとともに、安全率を明確にした見通しの良い簡易評価手法を提案し、解析に基づく詳細評価手法と並行して選択できる評価体系を整備する。本報ではこの目標に必要な実験計画を策定し、さらにより一般的な熱荷重の取り扱いについて検討した。
Yang Zumao*; 村松 壽晴
JNC TN9400 2000-009, 81 Pages, 2000/02
原子炉構造物に熱疲労を与える温度成層化現象およびサーマルストライピング現象について、その熱流動上の特徴を把握することは、原子炉設計の観点から重要である。本研究では、核燃料サイクル開発機構で開発された多次元熱流動解析コードAQUAを用い、水,ナトリウム,鉛および炭酸ガスを冷却材として用いた場合の熱流動上の特徴を数値解析により抽出する。温度成層化現象については、リチャードソン数Riをパラメータとして合計8ケースを解析し、以下の結果を得た。(1)流体物性および計算初期条件は、同現象を支配する浮力、熱拡散などの効果に大きな影響を与える。(2)炭酸ガスを用いた場合の熱流動上の特徴は、この他の流体を用いた場合のそれらと大きな違いを示し、特に温度成層界面近傍における運動量および熱量の交換特性に関する差異が顕著である。サーマルストライピング現象については、同現象を特徴づける熱流動上の特徴の内、温度ゆらぎ振幅の空間分布特性についての評価を行い、以下の結果を得た。(1)高乱流条件である今回のサーマルストライピング解析結果は、前記の温度成層化現象で抽出された特徴と比較して、違いが認められた。(2)今後の温度ゆらぎ周波数の検討では、炭酸ガスを冷却材に用いた場合に低流速領域での特徴把握に、その他の冷却材を用いた場合に剪断流領域での特徴把握に注意を払う必要がある。
村松 壽晴
JNC TN9400 2000-008, 323 Pages, 2000/02
高速炉の炉心出口近傍では、炉心構成要素毎の熱流力特性(集合体発熱量、集合体流量)の違いから、炉心燃料集合体間あるいは炉心燃料集合体-制御棒集合体間などで冷却材に温度差が生じ、それらが混合する過程で不規則な温度ゆらぎ挙動が発生する。この温度ゆらぎを伴った冷却材が炉心上部機構各部(整流筒、制御棒上部案内管、炉心出口温度計装ウェルなど)の表面近傍を通過すると、冷却材中の不規則な温度ゆらぎが構造材中に伝播し、その材料は高サイクル熱疲労を受ける(サーマルストライピング)。特に、冷却材として液体金属ナトリウムを使用する高速炉では、大きな熱伝導率を持つナトリウムの性質から、この熱疲労に対する配慮が必要となる。本研究では、上流側に90エルボを持つ主配管と枝管から構成される配管合流部でのサーマルストライピング現象について、直接シミュレーションコードDINUS-3による解析的検討を行った。本研究で着目したパラメータは、当該合流部における(a)口径比、(b)流速比、(c)主配管エルボ-枝管間相対角度および(d)レイノルズ数であり、これらパラメータが配管合流部下流領域での乱流2次モーメントの空間分布特性に与える影響を評価した。得られた結果は、次の通りである。(1)流速比()を1.0に固定した条件においては、口径比()が小さいほど乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。(2)口径比()を1.0に固定し、流速比()を主配管内流速の増減により模擬した条件においては、流速比が大きいほど乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。一方、流速比を枝管内流速の増減により模擬した条件(口径比を3.0に固定)においては、流速比が小さほど乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。(3)主配管角()を変化した場合、乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布は大きく変化しない。しかしながら、それらピーク値は、主配管角が180である場合が最も大きくなる。(4)レイノルズ数(Re)が大きいほど、乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。
アキラ トーマス トクヒロ; 木村 暢之; 宮越 博幸
JNC TN9400 2000-014, 86 Pages, 1999/06
高速炉のサーマルストライピング現象について熱流動に関する実験シリーズが水流動試験装置を用いて行われた。ここで言うサーマルストライピング現象とは、炉心出口部において、制御棒チャンネルや集合体から流出する温度・速度の異なる噴流が十分に混合せずに炉心上部構造材に衝突することにより構造材に熱疲労を与える現象である。本試験体系は、鉛直噴流を平行に3本配置しており、中心噴流が低温、左右の噴流が高温である。噴流は、矩形ノズルから試験容器中に準2次元形状で吐出している。試験パラメータは、噴流の平均吐出流速(U)と中心噴流と周辺噴流の吐出温度差(T=T-T)である。流速測定はレーザードップラー流速計(LDV)と超音波流速計(UDV)を用いて行った。本試験は、中心噴流を吐出させた単一噴流条件と3本の矩形噴流を吐出させた三噴流条件で行った。第1報は主にUDV計測結果、第2報は主に温度計測結果をまとめ、これらの結果を踏まえ、本報においてフェーズ1試験のまとめを行った。単一噴流条件における流速測定結果は、噴流出口領域から下流において、LDVとUDVとも既知の試験結果と良い一致を示した。三噴流試験条件において、3つの噴流の吐出速度が等速の場合、噴流が左右に振動することにより対流混合が行われていることが明らかとなった。また、速度変動は、流れに垂直方向において、左右の噴流と中心噴流の間の領域で大きくなっていることがわかった。UDVによる速度変動および温度変動から得られた噴流振動の卓越周波数は、噴流が主に混合する領域(混合領域)でf = 2.25Hz、噴流の混合がほぼ終了した領域では f = 0.7Hzであった。左右の噴流吐出速度が中心噴流吐出速度より大きい場合、混合領域が下流側にシフトし、混合領域の流れ方向長さが短くなっていることがわかった。
加藤 章一; 小山 祐司*; 吉田 英一; 青砥 紀身
JNC TN9400 2000-011, 33 Pages, 1999/03
平成10年3月3日に「もんじゅ」ナトリウム・水反応生成物収納設備のAループ過熱器用圧力開放板に損傷が確認された。このため、損傷の原因調査の一環として低温クリープおよび応力腐食割れ試験を行った。その結果,(1)低温クリープが破損原因である可能性は小さい。(2)損傷はガラスビーズに吸着した水分とNa蒸気との反応で生成したNaOH環境下での応力腐食割れが原因と考えられる。(3)損傷部には比較的多くのガラスビーズが残存しており,また圧力開放板とバキューム・サポートとの間隙が他の部分と比較して狭く,相当時間Na蒸気に曝されていなかったという複数の偶然が重なったため,応力腐食割れによる完全粒界割れが生じたものと考えられる。損傷部以外の部位については,多量のNa蒸気により無害なNa2Oに化学変化したことなどが応力腐食割れを引き起こさなかった一因として考えられる。ということが明らかになった。
笠原 直人; Yacumpai, A.*; 高正 英樹*
JNC TN9400 99-019, 34 Pages, 1999/02
原子力プラントの中で温度が異なる冷却材が合流する領域では、流体混合による不規則な温度ゆらぎが生じるため、熱応力による構造材の疲労破損に注意する必要がある。この現象はサマールストライピングと称され、熱流体と構造が複雑に関連し合う現象であることから、従来はモックアップ実験による評価が行われており、簡便で合理的な設計評価法が必要とされていた。これに対し、温度ゆらぎの振幅は流体から構造材への伝達過程において、乱流混合、分子拡散、非定常熱伝達、および熱伝導による温度除荷の各要因によって減衰し、その特性は周波数依存であることが解明されてきている。筆者らは、このうち非定常熱伝達と温度除荷の効果に着目し、両者による温度振幅の減衰効果を温度ゆらぎ周波数の関数として定量的に記述した構造応答線図を開発した。さらに本線図を設計へ応用するため、無次元数を導入することによって線図の一般化表示を行った。無次元化された構造応答線図の妥当性は、有限要素解析の結果との比較により検証した。本線図を利用することによって、流体温度ゆらぎ振幅から非定常熱伝達と温度除荷による減衰効果を考慮した熱応力の振幅を簡易に評価することが可能となる。
村松 壽晴
PNC TN9410 98-044, 47 Pages, 1998/06
高速炉の炉心出口近傍では、炉心構成要素毎の熱流力特性(集合体発熱量、集合体流量)の違いから、炉心燃料集合体間あるいは炉心燃料集合体-制御棒集合体間などで冷却材に温度差が生じ、それらが混合する過程で不規則な温度ゆらぎ挙動が発生する。この温度ゆらぎを伴った冷却材が炉心上部機構各部(整流筒、制御棒上部案内管、炉心出口温度計装ウェルなど)の表面近傍を通過すると、冷却材中の不規則な温度ゆらぎが構造材中に伝播し、その材料は高サイクル熱疲労を受ける(サーマルストライピング)。特に、冷却材として液体金属ナトリウムを使用する高速炉では、大きな熱伝導率を持つナトリウムの性質から、この熱疲労に対する配慮が必要となる。本報は、高速原型炉「もんじゅ」炉外燃料貯蔵槽冷却系内の配管合流部(最大温度差110,流速比0.25)を対象として、サーマルストライピング条件を解析的に検討したものである。得られた結果は、以下の通りである。(1)主配管直管側の流速が枝管側流速の1/4と小さいため、主配管上流側に位置する90エルボによる2次流れの影響は無視し得る程度に小さい。(2)直接シミュレーションコードDINUS-3による温度ゆらぎ振幅の最大値と実効最大値との比率は約3.18であり、「もんじゅ」内包壁の健全性評価に用いた同値6.0は十分な安全裕度を持った値であったと判断できる。(3)時間平均Navier-Stokes方程式に基づくAQUAによる温度ゆらぎ振幅実効値は、DINUS-3コードによる値の約4.9倍であった。配管合流部に循環領域が現れる当該問題では局所平衡の仮定が成立せず、対流効果および拡散効果を簡略化したモデルを採用するAQUAモデルの適用上の限界が示唆された。
村松 壽晴
PNC TN9410 97-039, 187 Pages, 1997/05
4種類の解析コード (汎用多次元コードAQUA、直接シミュレーションコードDINUS-3、直接法モンテカルロコードTHEMISおよび境界要素法コードBEAMSET)より成るサーマルストライピング解析評価手法のシステムレベルでの検証を行うため、流体-構造非定常熱的応答に関する既往ナトリウム試験の数値解析を行った。検証に用いたナトリウム試験は、4mm隔てて平行に置かれた噴流ノズル (5mm9mm)の下流側35mm位置に速応性熱電対を横方向に2mm間隔で貼り付けた試験片(SUS304鋼)を設置し、噴流ナトリウム温度を30020に固定した条件で噴流流速を変化させ、温度ゆらぎ挙動を測定したものである。得られた解析結果に基づき、温度ゆらぎ温度ゆらぎ実効値、温度ゆらぎ振幅および周波数の頻度分布、温度ゆらぎ挙動の自己パワースペクトル密度および境界層内温度ゆらぎ減衰特性などの統計量を評価し、実験によるそれらとの比較を行った。この比較の結果、同解析評価システムにより、流体-構造非定常熱的応答挙動を精度良く模擬できることを確認した。
小林 順; 木村 暢之*; 田中 正暁; 上出 英樹; 大山 一弘*; 渡辺 収*
no journal, ,
ナトリウム冷却高速炉の切込み付コラム型UISの下部において生じる可能性がある高サイクル熱疲労を防止するため、炉心頂部とUIS下部との距離が温度変動に与える影響について比較試験を実施した。温度分布測定の結果、温度変動が大きく緩和されることが確認された。
田中 正暁; 村上 諭*
no journal, ,
主炉停止系制御棒(PCR)および後備炉停止系制御棒(BCR)、さらに径方向ブランケット燃料集合体(RBA)周辺のCIP部では、これらから流出する低温のナトリウムと燃料集合体からの高ナトリウムとの混合によって、サーマルストライピングが発生する可能性がある。UISの内部では水平方向流れによる影響が、またRBA周辺部ではUISの外部流の影響がそれぞれ存在する。そのため、サーマルストライピング現象を精度よく評価するために、上部プレナム部全体を解く全体解析と評価対象である局所領域を解く局所解析とを連携させた空間連携解析評価手法を整備し、水流動試験結果との比較によりその妥当性を確認した。また、局所モデルの適正化として計算対象領域および空間分解能に関する感度解析を実施し、適切な局所モデルを整備することができた。